指導や教育に成功する人は、「指導者としての自分自身」が変わり、成長する事に視点を置いている。反対に、部下や子供たちだけを変えようとすると失敗する。

部下の教育や子供たちの教育にあたり、
指導者として成果を出している人と出せない人の違いについて、
以前から疑問に思うところがあった。

なぜ、同じ部下に対して
特定の人が指導すると部下が成長するのに、
別の人が指導すると成長しないという事象が起こるのか。

つまり、
指導が成功するか否かは、
教えられる側ではなく教える側に依存する部分が大きいのではないか、
という疑問である。

そこで
指導が成功している人と、そうでない人に対し
複数名にヒアリングを行った。

すると様々な要因がある中で、
一つ大きな考え方の違いがあることに行き着いた。

それは、
指導者が「自分自身が変わる」という事について、
視点を持っているかいないかという違いである。

指導が上手くいく人は、
「指導がうまくいくかいかないかは自分次第によるところが大きい」
という視点を持っており、
部下が成長しないとき、
指導者として自分に目を向け、
「どうやったら指導者としてより高みに登れるのか」という問いを投げかけている。
つまり、
部下が成長しないという事象さえも、
自分が成長するきっかけとして
楽しんで取り組んでいるのだ。

反対に、指導がうまくいっていない人は、
「指導がうまくいかないのは、すべて部下のせいである。
これだけやってあげているのに出来ないのであればどうしようもない。」
という視点をもっている。
つまり指導者としての自分に改善の目を向けるのではなく、
改善の視点をすべて部下側に集中させているのだ。

そして思うとおりにならないとき、
イライラや憤りが生まれ、
ただそれを部下にぶつけるという悪循環となる。

松下幸之助氏が述べていた「主体変容」という言葉がある。
周囲の人や環境を変えたいなら、
まずは自分を変えること。
自分を変えることしか、
他者や環境を良くしていく方法は無いという考えである。

成果を出せる人はその普遍の原則に気づいているのだ。

もし手元に10万円しかなかったとしても、
孫正義社長なら大きなビジネスを展開できるだろうし、
一般の方なら「これでは何もできない」とあきらめるだろう。
結局は「自分がどのような人であるか」こそが、
成果の有無に大きく関係しているのだ。

同じように大不況が来ても着実に売り上げを上げている人、
大不況にのまれて倒産してしまう人、
全ては自分次第で結果が変わるのである。

そのことに気づいた人は
いち早く自分自身に目を向け、
大きな成果を出している人なら、
ここでどのような考え方をするのか、
どのような行動をとるのか、
といった改善の視点を自分に向け、
どんな状況、どんな環境でも成果が出せる自分へと
着実に一歩を踏み出しているのである。

大切なのは
より高い自分のビジョン(Being=どういう自分になりたいか)を
本音のビジョンを持つことである。
そうすれば、
どんな環境でも逆に自分がそのビジョンに向かって成長するための
絶好の機会とすら思えるようになる。

自らが最高の指導者であることを目指し続けることでこそ、
部下や子供たちの至らなさに一喜一憂することもなく、
着実に成果を出せる自分へと成長していくための、
原動力が生まれるのである。
自身を変えることで、
周囲の環境を、ひいては世界を変える
影響力の高い人になろう。